わきが・多汗

 腋臭症(腋臭症)の治療 

腋臭症の原因

腋臭症の主な原因は、腋のアポクリン腺から出る汗にあります。汗そのものは無臭ですが、アポクリン腺の汗に含まれる成分(脂質、タンパク質、糖質、アンモニアなど)が皮膚表面に存在する常在菌により分解されることで、独特のにおいが発生するのです。これに皮脂が混ざり合うと、においはさらに強くなります。
さらにワキ毛は汗を留め、臭いを拡散させる役割をもつため、ワキの下の湿度が高まるとそこに溜まった汗に細菌が繁殖し、におい物質が増加してしまう場合があります。

腋臭症は体質の遺伝

腋臭症は、アポクリン腺から分泌される汗の量が多い体質が原因となっています。
この体質は遺伝しやすく、
両親のどちらかが腋臭症の場合  →   50%の確率
両親がどちらも腋臭症の場合   →   80%の確率
で子供に腋臭症が遺伝するといわれています。
腋臭症の発症するタイミングには個人差があります。早ければ小学生くらいから発症する例もあります。
一方で、性ホルモンに関係することから思春期ごろに症状が出てくることが多いともいわれています。
 

生活習慣の影響

腋臭症には、不規則な生活によるホルモンバランスの崩れやストレスなどのも生活習慣も関係してくるといわれています。また、普段からあまり運動する習慣がない場合、汗と一緒に老廃物も分泌され、体臭も強くなります。このことから、腋臭症体質の方には、早寝早起きや適度なストレス解消、適度な運動といった正しい生活習慣も心がけることをおすすめします。
 

腋臭症の治療

腋臭症の治療は、1)汗の分泌抑制 2)皮膚常在菌の殺菌・静菌 3)除毛 を行う必要があります。

1.の汗の量を減らすには、アポクリン腺かエクリン腺からのどちらかの汗の量を減らすことで全体的な汗の量をコントロールします。

エクリン腺の汗の量を減らすには、 i)塩化アルミニウムの塗布・ ii)内服 iii) ボトックス注射
アポクリン腺の汗の量を練らすには、i)アポクリン腺の切除(手術)

i)塩化アルミニウム
当院では、10~20%塩化アルミニウムの外用療法を行っています。塗布することにより、汗孔や汗管が閉鎖して発汗を抑制します。
この治療は、処方が保険外となります。

ii)内服治療
① 抗コリン薬
エクリン腺は交感神経支配を受けています。交感神経の神経終末から分泌されるアセチルコリンを阻害する、コリン受容体拮抗薬(抗コリン薬)を全身投与することにより発汗を抑制することができます。
② 漢方薬
多汗に効果がある「防已黄耆湯」「補中益気湯」などにより、発汗をコントロールできる可能性があります。

iii)ボトックス注射
ボトックス・ボツリヌストキシンは、わきの下に注入することでエクリン汗腺の活動を抑制し汗の分泌が抑えられます。汗の分泌が減ることで、ニオイも軽減することができます。
汗腺を取り除くわけではないので、効果は永続的なものではありませんが、約半年~1年位の間は汗の量を抑えることが可能です。1回の治療時間は5分程なので日常生活に殆ど制限はありません。
効果の継続期間には個人差があります。保険適応外の治療となります。

腋窩発汗範囲内に、1.5~2センチ間隔で注射投与点をマーキングして、皮下にボトックスを注射します。

手術:剪除法(せんじょほう)

直視下手術法の「剪除法(せんじょほう)」は、現在最も多くの病院で行われ、効果の出方が比較的安定している手術です。
ワキの下を1または2ヶ所約3cm切開し、皮膚を裏返すと粒状に並んだアポクリン腺が現れます。そのひとつひとつを目で確認しながら切り取っていく方法です。アポクリン腺を確実に除去できるというメリットがある一方で、他の手術に比べて傷跡の長さが長いというデメリットがあります。
入院の必要はありませんが、傷口が落ち着くまでガーゼ固定などが必要です。また、ワキ毛が減少するという特徴があります。

保険適応になりますので、費用に関しましては医師にご相談ください。
 

<手術したのに、においがとれない!?>

腋臭症手術の最大トラブルと言ってもいいくらい多く、さらなる悩みに発展することも少なくありません。なぜ、このようなトラブルが起こるのでしょうか?主な原因として、次の3点ことが考えられます。

「手術=無臭になる」という誤解

腋臭症の手術をすると無臭無汗になると思っている方は、意外と多いかもしれません。しかし手術で全ての汗腺を取り除くのは不可能なことに加え、破壊した汗腺の5~10%は再生する可能性があると言われています。

とは言えアポクリン腺をきちんと取り除けていれば、ごく自然な体臭レベルになることが多いものです。
しかし、そのにおいも気になってしまい、結果「治っていない」と感じる方が多いことも事実です。
腋臭症手術の目的は、“100%無臭無汗になる”のではなく“制汗スプレーなど腋臭症のない人が行っているケアさえしていれば、においが気にならなくなるレベルにする”ことです。
 

2.皮膚常在菌の殺菌・静菌

抗生物質の外用薬を使用します。毎日塗布する必要はなく、2~3日使用して臭いがとれれば、1~2週間は休薬できます。再発したら、また2~3日使用すれば良く、再発した際にそれに合わせて定期的塗布していれば結構です。
 

3.腋臭症と脇毛の関係

においの原因をつくる皮膚の常在菌は、毛穴の毛根部分に多く繁殖しています。また脇毛には汗を留めるクッションのような役割があるので、ワキの下の湿度が高まって細菌の繁殖が盛んになり、においを発生させます。
このことからレーザー脱毛で毛根ごと破壊して脇毛をなくすことは、においの軽減という点においては有効です。
 

<レーザー脱毛をするとにおうのはなぜ?>

「レーザー脱毛をしてからにおいが気になって…」という方がいます。実はその多くは腋臭症のにおいというよりも、汗のにおいです。レーザー脱毛によって、いきなり腋臭症の症状が出たり、腋臭症のにおいが強くなることは通常ありません。

においの原因として、毛がなくなった毛穴に皮脂や垢が溜まりやすくなり、それが酸化してしまうことなどが考えられます。においが気になった時、ワキの毛穴をよく観察してみましょう。小鼻の毛穴やニキビあとのようにヌルッとした白いものが出る時や、黒ずみがある場合は、つまった毛穴の汚れを落とすケアを行うことでにおいは軽減されるはずです。

レーザー脱毛と汗の量の因果関係ついては諸説ありますが、汗のクッション役の脇毛がなくなったことで汗を感じやすくなるということはあり得る話です。結果として「ワキの汗が増えた」と意識がワキに集中し、精神的不安による汗が出てしまっている、という可能性も高いです。
そんな時は制汗スプレーをはじめとするデオドラント剤や、制汗・抗菌・消臭効果のあるミョウバンなどを活用してみてください。また、即効性とある程度の持続性を求める方はボトックス注射も有効的です。