診療内容

一般形成外科

きずあと・ケロイド

きずあと

擦り傷や切り傷などの外傷ややけど(熱傷)、ニキビや手術による皮膚の傷が治ると、傷あとが残ります。
一般的に深い傷ほど目立つ傷あととなり、整容的に問題となる事が多いです。浅い傷でも面積が広いとやはり目立つ傷あとになる場合があります。
また、体の場所によっても目立ちやすくなることがあります。

1. きずあとの種類

1)成熟瘢痕

傷は最初炎症を起こしていますので赤くて痛い傷ですが、時間が経つにつれ肌色・白色に近づいていくのが普通の経過で、このようにして残った傷あとを「成熟瘢痕」といいます。
通常は2~3ヶ月間は赤みがでて、目立ちにくくなるのは半年ほど時間が必要になります。

2)肥厚性瘢痕

傷ができてからしばらくの間、傷が赤くみみずばれのように盛り上がることがあります。これを「肥厚性瘢痕」といいます。肥厚性瘢痕は深い傷の場合や、関節や首など、体が動くと引っ張られる場所に傷ができると、生じやすいです。胸やお腹の手術後の傷あとは、肥厚性瘢痕になりやすいことが知られています。
肥厚性瘢痕は「炎症がなかなか引かない傷あと」と考えるとよろしいかと思います。
関節の傷はいつでも引っ張られますので、炎症がその都度おこり、なかなか炎症が引きません。
完全に炎症が引くまで、1年から5年くらいかかることもあります。

3)ケロイド

傷あとには、肥厚性瘢痕よりも炎症が強いものがあり、それを「ケロイド」といいます。ケロイドの発症には「ケロイド体質」が大きく、遺伝することもあり、その原因などは様々です。このようなケロイドでも最近では、治療できるようになりました。ケロイドで悩まれている患者さんはお近くの形成外科に相談してみてください。

4)その他

ニキビのあとやヘルペスのあとに凹んだ傷跡を生じることがあります。傷跡としましては成熟瘢痕ですが、整容的に目立つことが多いです。これまでは、切除などの外科的な治療が行われてきましたが、当クリニックでは炭酸ガスレーザーを用いたフラクショナルレーザーにて治療しています。
詳しくは、フラクショナルレーザーのページをご覧ください。

肥厚性瘢痕とケロイド

1. 肥厚性瘢痕とケロイドの違い

–  肥厚性瘢痕 ケロイド
成因 真皮中層から広く広範囲に損傷が及んだ場合、「創傷治癒の遅延」により発生 不明、真皮の表層のわずかな損傷でも、発症原因となりうる
人種による違い ケロイドほど人種差なし 黒人>黄色人種>白人
体質 特にないが、高度型ではケロイド体質を認めることがある いわゆるケロイド体質
好発部位 全身どこでも発生の可能性がある。特に関節部など可動部で傷痕に緊張のかかりやすいところ。また皮膚の部位的性状にもよる 胸の正中部、三角筋部、肩甲部、耳介、 耳後部、恥骨上部が好発部位。
但し、全身どこでも発生の可能性はある
自覚症状 かゆい、いたい、あかい、ひきつれ感 左と同じであるが、症状はより強い
他覚症状 赤みがあり、盛り上がっている。
もとの傷の範囲を越えない
赤みと盛り上がりが、周辺にしみだす

2. 原因

  • 傷の深さ
  • 傷の治るはやさ
  • 傷にかかる力
  • 妊娠・女性ホルモン
  • 高血圧
  • 全身の炎症
  • 過度の飲酒や運動
  • 遺伝的な問題が考えられます

3.治療方法

1)保存的治療

ケロイド、肥厚性瘢痕の治療は保存的治療が第一です。具体的な保存的治療は下記に示しますが、単独ではなく複数を組み合わせて行うことが多いです。

A. 圧迫療法

テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシート、コルセットなどによる圧迫をおこなうことで固定と安静患部の安静を保ちます。

B. 外用療法

ステロイド剤の入ったテープや、ステロイド剤軟膏を使用します。保湿を目的として、水分不透過性絆創膏を貼ります。

C. 局所注射療法

ステロイド剤をケロイドに直接注射する方法です。

D. 内服療法

抗アレルギー剤が、かゆみなどの症状に効果が認められることがあります。

E. レーザー治療

血管の数を減らすレーザーが有効とされていますが、現在では健康保険を適用しての治療はできません。

F. その他

液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されています。

2)外科的治療

肥厚性瘢痕やケロイドは保存的療法で軽快する場合も多いですが、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ場所で整容的に問題となれば、手術の適応となります。しかし、今まではケロイドに関しては安易に手術してはならないとされてきました。なぜならば、ケロイドは再発しやすいため、単に手術するだけでは前より大きなものになってしまうことがあるためです。

形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後の放射線治療を行って、再発をおさえることができるようになりました。

しかし、跡形無く傷跡が消えてしまうと言うことではありませんので、治療にあたっては担当医とよく御相談の上、その効果や限界についてご理解頂くことが必要となります。
当クリニックでも場所や範囲によっては手術をお受けすることも可能です。まずはご相談ください。

3)術後放射線治療

手術後の傷が肥厚性瘢痕やケロイドに再びなることを予防する効果があります。しかし、副作用として周囲の正常皮膚への障害を考えねばならず、将来的にわずかながらその部位の発がんのリスクが増える可能性は否定できません。

最近の放射線治療では、線量や照射方法が改善されていますので、発がんのリスクは最小限に抑えることができています。放射線担当医より十分な説明を受け。ご理解いただいてから治療を開始します。当クリニックでは放射線治療は出来ませんので、必要に応じて紹介させていただきます。

佐久平よつばクリニック

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